金属アレルギーについて【ジュエリー・ピアス】

結婚指輪

 

 金属アレルギーの原因物質(アレルゲン)は金属そのものではありません。金属は汗などの体液で金属イオンが溶け出す性質があり、それが体内のタンパク質と結びついた物がアレルゲンで、これを体が異物とみなし過剰反応を起こす事が金属アレルギーです。つまり、アレルギー反応が起こりやすい金属は汗や体液に溶出しやすい金属と言えます。

 

ピアスに要注意

18金ピアス金属製品は日常にありふれていますが、アクセサリー類は長時間肌に付ける事が多いため、溶出しやすい素材がどの位含まれているか確認した方が良いでしょう。特にピアスは金属が皮下組織と直接接触するため注意が必要ですし、ピアッシング時やピアスホールに傷がついていたりすると傷口から出る体液により、金属イオン溶出の可能性が高まります。

 

アレルギー反応が起こりやすい金属

ほとんどの金属が腐食し溶出しますが、ここでは特に溶出しやすい金属4種、次に溶出しやすい金属5種を順番に並べます。

特に金属アレルギーになりやすい金属
ニッケル
水銀
コバルト
スズ

次に金属アレルギーになりやすい金属
パラジウム
クロム

アルミニウム

単純に素材だけで比較すると、上述した物ほど溶出しやすいです。

 

具体的に特に注意が必要な材料を見てみましょう

地金としては、銅や真鍮(銅と亜鉛の合金)などで、合金の場合、比率が高いほど金属アレルギーの可能性が高いと考える事が出来ます。メッキとしてはクロムメッキ、ロジウムメッキ(下地にニッケルメッキが使われる事が多い)、金メッキ(下地にニッケルメッキが使われる事が多い)などです。金属アレルギーの可能性の低い金属のメッキであれば、表面がコーティングされているので良い様に思いますが、メッキは時間の経過で剥がれてしまうため、露出した下地や地金にアレルギー反応が出る可能性が高くなります。金属アレルギーと自覚されている方のほとんどが、上記の様な物で作られた、安価なアクセサリー類に反応されていると思います。

 

ジュエリー(貴金属)でもアレルギー反応が起きる場合

ペンダントトップ18金、シルバー925、プラチナ900、などを試してみる事で、ほとんどの方のアレルギー反応はなくなると思います。しかし稀に貴金属を使用したジュエリーでアレルギー反応を示す方がいらっしゃいます。そのような方は、貴金属の割り金に使われている素材に反応しているかもしれません。18金は金75%と銀12.5%と銅12.5%の合金、シルバー925は銀92.5%と銅7.5%の合金、プラチナ900はプラチナ90%とパラジウム10%の合金です。これら合金の材料として使用されている、銅やパラジウムに反応しているかもしれません。純粋な、金、銀、プラチナは非常にイオン化しにくい金属です。

 

合金にする理由

純粋な金、銀、プラチナを材料にすれば、問題は解決するように思います。しかし、これらを純粋な状態で使用すると、柔らかすぎたり、摩耗しやすかったり、ジュエリーとしての形を保ちにくいというデメリットがあります。せっかく買ったジュエリーが、宝石がすぐに外れてしまったり、簡単に変形してしまったり、すぐにキズだらけになってしまったり、すぐにすり減ってしまったり、などではとても残念です。合金された、18金、シルバー925、プラチナ900、はこれらのデメリットを改善する為に開発された、大変優れたジュエリーの材料です。金属アレルギーの原因となりえる素材の比率も低いため、アレルギーになりにくいのも魅力の一つです。

 

サージカルステンレスについて

サージカルステンレスとは、サージカル=医療用の、ステンレススティール=錆びない鉄、という意味のよく出来た造語で、一般的なステンレスよりも、金属アレルギーに配慮したという程度で、安価に大量生産可能な材料として開発された物です。素材は、鉄67.5%・クロム18%・ニッケル12%・モリブデン2.5%、の合金。最もアレルギーになりやすい金属とされるニッケルが含まれており、その上大半が鉄とクロムという事からも金属アレルギーの心配がないとは言えず、現に体内に半永久的に埋め込まれる、インプラントや人工骨にサージカルステンレスが使われることはありません。ジュエリーに使われる貴金属類よりも注意が必要でしょう。そして色仕上げが目的のメッキをされたものをよく見かけますが、これらに関しては特に注意が必要な部類に入ると考えます。

 

金属アレルギー反応の起こりにくい材料

木金堂では、一般的な貴金属でもアレルギー反応が起こるお客様用に、ピアスポストなら純チタン、その他22金ゴールドやパラジウムフリーのプラチナでの対応もさせて頂きます。

 

 

この記事の執筆者

小林倫
地元山梨県のジュエリーメーカーに3年間勤務後、独立し木金堂設立。その後7年間ジュエリー制作に携わる。4児の出産子育てを経て、現在は少しずつ仕事復帰し、学生時代に京都で学んだ漆仕上げの木工芸の技術を生かし、ジュエリーや木工芸品を制作している。詳しくみる

 

 

 

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