拭き漆仕上げとは 技術と特徴

杢目を楽しむ 美しい拭き漆のひみつ

木製品の仕上げ方法の一つに拭き漆があります。手間をかけて仕上げた拭き漆は、杢目をより際立たせ、強靭な塗膜と美しい艶も得られます。

拭き漆とは その仕上げ方について

拭漆捻八陵手鏡の背面

塗装に漆を使い木製品を長持ちさせる方法は、太古から人々に多用されてきました。漆の技術の中で、拭き漆は最も容易な方法の一つですが、こちらでは杢目が引き立って仕上がる、手間暇かけた拭き漆について詳しく解説します。

拭き漆の基礎知識

漆と聞くと色のついた漆をたっぷり塗り重ねた、黒や赤の漆器をイメージされる方が多いかもしれません。拭き漆は、木地(きじ)に漆を塗って余分な漆を拭き取ることから“拭き漆”と呼ばれ、漆の技術としては最も容易なものの一つです。非常に薄い塗膜を重ねるため、木目が見える状態で仕上がり、漆の強靭な塗膜を得ることもできます。

木金堂の拭き漆の特徴

上記の様に漆の技術としては容易な拭き漆ですが、木金堂の拭き漆は以下のような大変手間をかけた拭き漆です。

・Step1…地固め

肌を整えた木地にたっぷりと漆を塗って吸わせ、余分な漆を拭き取ります。漆をたっぷり吸わせたので、乾くまでしっかり時間を置きます。

・Step2…研ぎ

漆が乾いたら、水研ぎサンドペーパーで表面肌を研ぎ落とします。肌の微細な凹凸を平滑にする作業です。

・Step3…塗り

研ぎ落とされ、あらわになった木肌に、もう一度漆をたっぷりと吸わせ、余分な漆を拭き取り、しっかりと乾かします。

・Step4…錆付け

生漆に水と砥の粉を混ぜた錆漆をヘラで木肌全体に押し広げ、木の導管を埋めます。導管が細く目立たない木材の場合は、この作業は行いません。

・Step5…研ぎ

錆漆が乾いたら、水研ぎサンドペーパーで余分な錆漆を研ぎ落とし、表面肌の微細な凹凸も平滑にします。

・Step6…塗り研ぎ

「漆を塗って拭き取る、乾かす、研ぐ」を10回近く繰り返します。このとき、サンドペーパーの番手を徐々に上げ、木肌のきめを細かくしていきます。

・Step7…拭き漆

木肌のきめが細かくなったら、「摺り込んで拭き上げる、乾かす」を10回~20回繰り返します。塗膜に異物が付着し、ざらつきが気になったときは、途中ごく細かい水研ぎサンドペーパーで平滑にするときもありますが、最後は拭き漆で仕上げます。

木金堂の拭き漆の大きな特徴は、一般的な拭き漆と比べて工程数が非常に多く、難易度も高い所です。

なぜ拭き漆は杢目を引き立たせるのか

木には、漆をよく吸う部分とそれほど吸わない部分があり、杢がある材料はそれが通常の木材より混在しています。生漆は乾くと半透明の茶褐色になるため、よく吸う部分と、それほど吸わない部分の色の濃さに違いが出てきます。その結果、杢目がより際立つことになります。拭き漆は杢目が見える状態で仕上げたい場合に最適です。

木金堂の通販サイトでは、拭き漆仕上げの木工芸品を取り扱っております。品質の高い木製品をお求めの際は、木金堂の通販サイトでぜひお選びください。

拭き漆で仕上げた美しい木製品をお探しの際は木金堂まで

板の上にある黒柿拭漆靴べら

木金堂の拭き漆は、職人が師・黒田乾吉に学んだものです。塗りと研ぎを10回程度、拭き漆を20回程度繰り返した手間のかかる作業により、高級感ある美しい仕上がりとなります。漆の強靭な塗膜も得られるため、長年に渡る使用が可能で、塗装がはげてきてしまっても、塗り直しが可能ですので、ぜひ普段使いとしてご愛用ください。

拭き漆で仕上げた木製品を企画・制作・販売する木金堂では、お箸靴べら手鏡のほか、ピアス・ペンダントなどのジュエリーもご用意しております。拭き漆で仕上げた高級な木製品やジュエリーをお求めの方は、木金堂のオンラインショップをぜひご利用ください。

販売業者 木金堂
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